園長
かぴら幼稚園では、初めての集団教育の場において、多彩で楽しい行事や活動を通して、園児達が成長する場を様々な形で設けています。年齢にあったねらいをもって、多くの体験を重ねていくことで、子ども達は、自分自身で成長のスイッチをオンにして、その先に進んでいきます。
園広報誌「ぼだいじゅ」平成28年度2号より以下抜粋)
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園長 土田 典子 |
先日、年長組と年中組が「城山の森」に出掛けました。アスファルトの道路から小道に入ると路面は未舗装路になり、背の高い木々に挟まれ、生い茂った葉っぱや下草がトンネルのようです。これからどこへ行くのだろうとワクワクした気持ちで、少し薄暗いトンネルを通りぬけると、視界がぱっと開け、目の前に新しき村の田畑が連なる里山の風景が広がります。急に景色が変わるので、別世界に来てしまったような気分です。新しき村の境界のあぜ道を進むと城山の森へ続く道への分岐にでます。ここで里山ののどかな景色とお別れをし、針葉樹の林の中を登って行きます。真っ直ぐに続く道は先が見えず、少しドキドキします。地面に落ちている小枝を踏みながら歩くとパキパキと音がして、顔を上げると針葉樹の間に灌木の新緑が目に鮮やかです。
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道を登りきると木々に囲まれた平らで開けた場所にでます。木漏れ日がゆらゆらと揺れて、落ち葉や小枝が散らばった地面に光の模様が次々と映し出されています。爽やかな風が木々の間を通り抜けていく心地良い森の中で体育の先生と一緒に体操遊び。園庭とは異なる地面の感触、空気も違うような気がします。友達と手を繋いで木の幹を囲むゲームでは、手を繋いで見上げると背の高い木の上の方で枝が重なり合い、サワサワと揺れていました。その後、森の広場に思い思いに散らばって遊びました。地面に横たわる丸太の上を渡り歩きをしたり、木の葉や木の実を探す子達もいました。拾ったどんぐりには、良く見ると穴が開いていました。去年の秋に地面に落ちた実が、虫のおうちになっているから、そのままにしておこうという話を聞いて、そっと地面に戻しました。
子ども達は、森の中にいる心地良さを言葉にして理解していないかもしれませんし、そもそも森での時間を何か特別なことと捉えてはいないでしょう。それでも、意識していなくても、自然を感じる環境に身を置くことで、五感を通して感じた感触や印象の一つ一つは、心の奥に残り、のちのち子ども達の心と身体の成長に役立つ栄養になると考えています。 視覚から受ける刺激が多い最近の生活において、手で触れる、匂いを嗅ぐ、肌で直に感じるという実際にその場にいなければ得られない感覚を実感する体験が子ども達の成長に良い刺激を与えるものと考え、これからも、自然の中での活動の機会を大切にしていきたいと思います。
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- 県立川越女子高校卒業後、単身、アメリカに留学。州立大学からアイビーリーグのペンシルバニア大学に編入学、同校を卒業する。平成24年9月、父である現学苑長より園長を引継ぐ。英語活動には、カナダ人講師とともにかかわり、課外教室の指導も行っている。
既婚 3児の母
趣味:
山登り、お菓子作り、工作
好きな映画:
The Sound of Music
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初代園長のことば
令和2年9月 かぴら幼稚園学苑長(初代園長)平山 攝は 82年の生涯を終えて 往生致しました
これからは ののさまとともに かぴら幼稚園とそこに集う全ての人達を あたたかく 見守ってくれることでしょう
園創立以来、かかわってくださった全ての皆様のご厚情に深く感謝申し上げます ありがとうございました
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幼児は、幼いなりに自分を高めて行こうという意欲をもっています。
そのため、もう少し努力すればできそうだという課題を与えると、それに一所懸命に取り組み、自分の力に実感し、自信を持つことができます。その自信が、新たなことに取り組む意欲を引き出します。 これからの時代、たとえ一人であってもいつでもどこでもしっかりと自己表現ができ、新しい友達作りができるお子さんに育てることが大切です。当園では、子ども達が様々な体験を通して徐々に独り立ちし、自分の力で道を切り開いて行く力がつくことを目標としています。
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初代園長 平山 攝
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人間にとって最終の目標は自立ということですが、その為には自らをコントロールする自律・自制の習慣を身に付ける必要があります。当園では、子ども達が集中しなければならない時間とおもいおもいに伸び伸びと遊んで良い時間をうまく組み合わせて園での生活を構成しています。生活にメリハリとけじめを付けると、結果的に生き生きとしたやる気のある子どもが育ちます。伸び伸びとした子を育てたいと思い、なんでも子どもの好きなようにさせて置くというのは、放任と言い、最も望ましくない接し方です。
幼児は人間が作っている社会集団の中で、他の人々と様々な関わりを持つことによって、少しずつ人間らしく育って行きます。現代は、残念ながら地域共同体が姿を消し、昔のように大家族や地域の中で皆に見守られ、可愛がられたり叱られたりしながら地域の子どもとして育つことが出来なくなっています。それだけに、かぴら幼稚園では教職員は勿論、園児の父母も地域のボランティアも含めて、大きなかぴらの輪の中で子ども達全員が多様な関わりを経験して、育ち合うような幼稚園を目指しています。
更に、文明がいくら発達しても、人間は哺乳動物であるという事実は変えようがありません。人類発生以来慣れ親しんできた自然との関わりが、幼児の発達にはどうしても必要です。本園では、出来るだけ多く自然と接することが出来るよう、積極的にお父さん方やボランティアの応援を仰いでいます。
初代園長プロフィール
山歩きと歌が大好きな学苑長先生。 ハンチング姿がトレードマークです。 どこからか鼻歌が聞こえたら、きっとそこには... かぴらっこの元気な一日はそんな学苑長先生や園長先生との握手ではじまります。 雨の日も、風の日も、雪の日も欠かさず、大きくて、あたたかい手で 出迎えてくれる姿に、園児達は親しみと安心感を抱きます。
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東京大学文学部西洋史学科卒業後、祖父の創設した信証学苑を引き継ぐために再度学士入学し、東京大学教育学部教育学科教育社会学コース卒業。 昭和47年3月、西坂戸(のちにかぴらに改名)幼稚園開設と共に園長に就任。 幼稚園教育の研究を深め、自園の教育内容充実を図ると共に私立幼稚園全体の充実発展・教育水準向上の為に地区私立幼稚園協会、県私幼連合会の役員として積極的に活動を続けてきた。 平成24年9月に園長を退任し、学苑長となる。 元西入間私立幼稚園協会会長、元全埼玉私立幼稚園連合会副会長、元常任理事 元埼玉県私立学校審議会委員 平成10年11月 埼玉県知事表彰 平成17年12月 文部科学大臣表彰 平成20年 4月 瑞宝双光章受章
令和 2年 9月 逝去
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